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「つばめ」の巣

●2004年10月のトップページ写真----『「つばめ」の巣』
787系「つばめ」は、平成4年のダイヤ改正でデビューしました。由緒ある「つばめ」の名を継ぎ、JR九州の誇る看板列車として使命を担うこの車両には、それにふさわしい設備が整えられることとなりました。豪華な個室やグリーン車をはじめとして、つばめレディの配置、真空洗浄式のお手洗いなどがあげられます。そして、ビュッフェもその一つでした。

かつて、特急列車は長距離区間の設定が多かったので、旅行者の便を図るためにも食堂車ないしはビュッフェを連結するのが当然と考えられていました。ところが、日本の電車技術の発達と電化の進展により、客車列車やディーゼル列車から電車化される路線が増えることで転機が訪れます。電車化された列車は大幅に高速化することが多く、それによって乗車時間が短縮されます。例えばそれまで6時間かかっていたものが、4時間になるとすれば、途中で食事を取る必要性は薄れてしまいます。最たる例が新幹線です。東海道新幹線の場合、東海道線経由では6時間以上かかっていた道のりが、半分以下の3時間台となりました。加えて、各地で線形改良が進められたため、さらに時間短縮が進みました(新幹線も在来線より短絡していることが多いのでその類型に含まれるでしょう)。

また、市中の飲食店や駅弁が充実してくると、メニューが少なく、味が極端に良いわけでもないのに人件費等のコストがかかるために値段の高い食事に魅力は感じられなくなってしまいます。こうして、食堂車やビュッフェを連結する列車は徐々に数を減らしていきました(あるいは、連結していても休止状態)。そしていつの間にか、在来線では寝台列車を除き、食堂車やビュッフェを連結する昼行定期列車は皆無となってしまいました。

そんな食堂車不遇の時代に、787系「つばめ」には列車におけるアメニティ向上戦略の一環としてビュッフェが設置され、凄まじいインパクトを与えました。なお、車両の形式はサハシ787です。時は流れ、平成16年に九州新幹線が開業することが決定しました。このことがビュッフェの運命を大きく左右することになりました。新幹線の開業で、787系は「つばめ」(博多〜鹿児島)から「リレーつばめ」(博多〜新八代)に転じることが決まります。これにより、乗車時間は4時間弱から1時間半程度に短縮され、食料の提供の意義が薄れます。そして最も大きな要因が座席定員数を新幹線に合せる必要があったということです。こうしてビュッフェは廃止され、座席化されることになりました。

787系のデビューから10年が経過した平成14年から改造工事が開始され、平成15年のダイヤ改正までに全ての旧「つばめ」編成の改造が終了しています。時間短縮による利便性と、ゆったりとした旅の情緒は、しばしば天秤にかけられます。食堂車やビュッフェもそうした世の中の動きに翻弄されたのでした。

今回はおそらく在来線昼行定期列車における最後のビュッフェ連結列車となるであろう787系「つばめ」が車庫で羽を休める姿をイメージしました。


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