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国鉄財政危機の落し子

●2004年12月のトップページ写真----『国鉄財政危機の落し子』
国鉄末期、国鉄は毎年1兆円以上の赤字を出し続けていました。累積赤字は10兆円前後に、長期債務も20兆円前後と天文学的な額に達していました。そのため新規の投資は大幅に抑制されることになり、新車両の投入も長らく停止されていました(ただし、新幹線を除いて・・・)。長崎本線や佐世保線もその影響を大きく受けた路線でした。両路線とも1976年に電化が完成したのですが、投入する車両に新車どころか、中古の電車さえ十分に用意できなかったのです(ただし、長崎本線の旧線は電化されず、ディーゼル列車のみ運行されています)。

「かもめ」「みどり」運用に充当する車両には、山陽新幹線博多開業により余剰となっていた481・485系を投入することができたものの、急行列車は非電化時代と変わらないキハ58系が使われ続けていました。普通列車も同様で一部を除いて気動車ないしは客車列車で運行されていました。運行される区間の全てが電化路線である気動車列車は「架線化DC」と呼ばれ、国鉄の厳しい財政状況をまざまざと見せつけていたのでした。

しかしながら、いくら懐が寂しいからといってそのまま放置するわけにはいかず、急行列車を全て特急に格上げすることで、電車化を図りました。さて、残るは普通列車の電車化ですが、それが国鉄当局の悩みのタネでした。余剰のあった優等列車と違い、普通列車用の車両にはそのような余裕がありませんでした。もちろん、新車を入れるわけにはいきません。

ちょうどそのころ、山陽本線の夜行列車削減や東北・上越新幹線の開業により追いやられた581・583系が留置線で雨ざらしになっていました。そこで、それらを有効活用することが考えられたのです。「捨てる神あれば拾う神あり」といったところでしょうか。こうして長崎本線・佐世保線の普通列車の電車化用に登場したのが、581・583系を改造した715系交流電車です。分割民営化が実施される3年前、1984年のことでした。同様に改造された車両に419系がありますが、こちらは交直両用の機能が残されています。

715系や419系はとかく後ろ向きのイメージで捉えられやすい傾向がありますが、まだ使えるのに引退を余儀なくされた100系新幹線などに比べれば寿命が尽きるまで現役でいられたのですから、幸せだったのではないでしょうか。現役を通せた秘密はどこにあったのでしょう?推測の閾を出ませんが、その健脚にあったと思われます。世界初の昼夜兼用電車として、ほとんど休むことなく激務に耐え抜いた581・583系の足回りは評価に値するものです。それゆえの抜擢だったのではないでしょうか。

また、内装についてもお金がないながらも近郊型電車として使い勝手のいいようにきちんと改造が施されています。例えば、乗降ドアの増設やセミクロスシート化が挙げられます。優等列車からローカル落ちした車両の中には地域の実情おかまいなしで、そのまま投入されている車両も多いですから最大限の配慮がなされていたといえます。逆に所々に残された優等列車時代の設備は、ふらりとその地を訪れた旅行者にとって郷愁を誘いました。ですから、これらの車両は、東北、九州、北陸といった各投入地域の輸送体制の体質改善に十二分に貢献したといえるでしょう。
現在では、東北、九州に配属された715系は新型車両に道を譲り、既に引退していますが、北陸本線の419系は活躍を続けています。

今回は715系登場当時の長崎本線をイメージしました。715系と485系がすれ違うシーンです。

715系は改造講座で制作したモデルです。商品化はされていませんので、ご注意ください。

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