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列車ものがたり
のぞみ

●列車ものがたり----『のぞみ』
永らく君臨し続けていた「ひかり」に取って代わり、一躍主役の座に着いたのがこの「のぞみ」である。以前から航空機との競争が激しい山陽新幹線はもちろんのこと、最近では東海道新幹線でも東京−大阪間で航空機との激しい競争の最前線に立ち、日夜覇を争っている。

「のぞみ」の愛称は、戦前に「ひかり」と同様、朝鮮半島と中国大陸を結ぶ急行列車の愛称名として使用されていた(運行区間もほぼ同じ)※1。しかしながら、国内の「燕」「富士」「櫻」といった優等列車と同様、戦況悪化により運行継続が難しくなり、昭和20年に廃止となった。

戦後は「ひかり」と異なり、長い間「お蔵入り」となっていた。「もしや、このまま永遠に出番はないのか!?」とも思われていたが、落ち着くべき席は用意されていた。「ひかり」の登場から30年近くが経つなか、規制緩和や企業努力によって航空機の利便性(アクセスや料金など)も格段にアップし、当初は東海道新幹線が圧倒的に優位に立っていた東京−大阪間の旅客需要を徐々に侵食するようにまでなっていた。

一方の東海道新幹線は国鉄末期の財政難や労働争議の激化から技術開発が遅れ、国鉄分割民営化が実施された昭和62年の段階で、営業最高速度は開業当初の210km/hからわずか10km/hしかアップしていなかったのである。危機感を覚えたJR東海は、0系以来のフルモデルチェンジ車※2である300系を開発、最高速度270km/hかつ全車指定席の最速達列車を設定することとなった。その上位優等列車に「のぞみ」の愛称が授けられたのである。「のぞみ」は長いブランクを経て、「ひかり」と再会したのだった。

登場当時の「のぞみ」の運行は技術的にもダイヤ面でも試験的な意味合いが強かった。そのため、東京−新大阪間の早朝と深夜の2往復のみである。始発の航空便より早く市中のオフィス街に到達できるダイヤという意味もあったようだが、昼間の列車への影響を最小限に留めるように配慮したというのが大きな理由として考えられる。中でもとくに目を引いたのが、新横浜にのみ停車し名古屋と京都には停車しないというダイヤである。この2駅を通過した新幹線列車は現在のところこの列車のみである。

平成5年に、毎時1本に本数を増やし博多進出を果たしてからの「のぞみ」の増勢には目を見張るものがある。平成9年には最高速度300km/hを誇る500系、平成11年には現在の主役700系がその布陣に加わり、足回りやアメニティを強化。平成13年には最大毎時3本の運行となる。しかしながら、その一方でダイヤは平準化され、先述の東海道区間で途中駅を通過する「のぞみ」は消滅してしまう。

平成15年の品川駅開業以降は自由席が設定された上、最大毎時7本となり、「ひかり」に代わり東海道・山陽新幹線、否、日本を代表する列車となった。平成19年にはN700系も登場予定で、今後ますますの発展が見込まれている。

※1…列車ものがたり「ひかり」の回を参照。
※2…昭和60年に登場した100系は、外観こそ斬新だったものの、技術的には0系のマイナーチェンジ車にとどまっていた。車両紹介「新幹線100系」の回も参照。
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